自然災害リスク軽減研究センター

動的中型三軸試験装置(テーマ4)

設備の概要

 本試験装置は,直径20cm,高さ40cmまでの中型供試体を用いて,最大粒径38mm程度の礫粒子を含む地盤材料の精密な静的力学特性ならびに液状化特性を解明することが可能である.また,直径20cmの大径供試体のみならず直径10cmの供試体まで対応できるため 粒度調整を伴う試験寸法の影響についての検討も可能となる.
 また,高性能油圧アクチュエータを用いて,静的載荷にあたっては,最大荷重±50kN,ピストンストローク±40mm,位置制御精度±1/100~1/1000mm,載荷速度0.050mm/s~0.0005mm/sの性能を有し,動的載荷あたっては最大荷重±10kN,載荷時使用周波数 10~0.01Hzの性能を有している.これらの制御はすべてパソコンからのプログラムにより自在に制御可能であり,試験の汎用性は極めて高い.また,各種センサー類も高性能なものを採用しており,本試験装置を用いて得られる試験データの精度は非常に高い.

動的中型三軸試験装置

◆試験条件 :飽和供試体の排水および非排水せん断
◆供試体寸法:f200mm×H400mm,f100mm×H200mm
◆載荷装置(油圧アクチュエータ(軸圧)の性能)
   ・静的最大荷重:±50kN
   ・静的載荷速度:0.050mm/s~0.0005mm/s(0.75%/min~0.0075%/min)
   ・動的最大荷重:±10kN
   ・動的載荷時使用周波数:max 10Hz,min 0.01Hz
   ・動的載荷時振幅特性:10Hzのサイン波形において±2mm程度のストローク
   ・動的繰返し載荷回数:1回の試験でmax1万回程度

研究内容例

(1) 礫質土地盤の地震時液状化特性の把握

 南海トラフ地震により,四国をはじめとする多くの礫質土を基礎地盤とする河川堤防の液状化が懸念されている.大きな粒径の礫を含む原粒度礫質土地盤の試験は,通常,小粒径のみに粒度調整した供試体を用いて実施されるが,礫質土の力学特性は粒度調整によって大きく変わってしまうため,正確な力学特性を把握するためには原粒度のまま試験が実施可能な大きな供試体径の試験装置が必須となる.本装置によって,継続時間が長い海溝型地震を模擬した繰返し載荷試験を実施し,礫質土地盤上の河川堤防の安全性を検討する.

液状化被害が懸念されている高知県の砂礫地盤