自然災害リスク軽減研究センター

劣化環境促進装置(テーマ1)

設備の概要

2m×2m×3mの小部屋および温度湿度制御ユニットから構成されており,部屋内温度および湿度をそれぞれ-10~+80℃, 20~95%RHの範囲で制御するための装置である.コントローラにプログラミング機能があり,温度や湿度の自動的な変更やサイクル運転が可能である.霜対策が講じられており,部屋内の温度および湿度を精度良く制御できる.

研究内容例

(1) 様々な環境条件下におけるコンクリートの乾燥収縮測定実験

 コンクリート部材の劣化要因のひとつである乾燥収縮は,温度や相対湿度変化等の環境条件に大きく依存する.本装置を用いて,温度条件および相対湿度を様々に変動させた条件の下で,コンクリート部材の乾燥収縮試験を実施する.室内で部材を打設作製することにより,材齢ごく初期を含めた乾燥収縮挙動を評価できることが特徴である.乾燥収縮量と温度,相対湿度との関連性を明らかにする.

(2)温度サイクル劣化を考慮したFRP接着界面の付着強さに関する研究

 コンクリート構造物の耐震補強材として連続繊維複合材(FRP)が広く用いられているが,巨大地震等,衝撃を伴い大きな外力を受ける場合に,接着材の損傷,ならびに脆性的なFRP剥離の発生が懸念されている.また,長期供用時に温度変化等による接着材の環境劣化も懸念されている.本研究では,衝撃的な外力と温度サイクルによる劣化を複合的に考慮したFRPの剥離メカニズムを検証する

(3)温度サイクル劣化を考慮したバサルト繊維メッシュの引き抜け強さおよび補強効果の保持に関する研究

 大規模地震災害を背景に,コンクリート構造物およびその構成材料に対してより大きな靱性が求められており,格子状のバサルト繊維メッシュを混入させることでコンクリートの靱性向上を図る研究を実施している.静的荷重下では,大きな靱性補強効果が得られているが,バサルト繊維メッシュの引き抜けに伴い補強効果が失われることもわかっており,長期供用時の温度サイクルによる繊維補強材とコンクリートの界面劣化が懸念される.本研究では,環境劣化促進装置を用いて,界面劣化メカニズムを検証する.